Back Shot 2/2

<9/12の続き>

フレームに乗せられたガソリンタンクは細く、艶やかな黒色を薄暮にさらしている。シートに向かって絞り込まれた曲線と、ヌメるように光るフルフェアリングの黒との間に、脚は、細くまっすぐに降りていた。“TERMIGNONI”と描かれたステッカーがドライカーボンサイレンサーに貼り付き、黒いタンクとフェアリングには、小さくDUCATI、そして848と斜めに走っている。レーサー風に立ち上がったタンデムシートには、華奢な腰回りを隠すように、流線型のシートバッグが載せられていた。

かかとまでしっかりとアスファルトに落とし、ハンドルから離した両手をガソリンタンクの上に置いて、湯煙の彼方を探るように前を見つめている。黒いライディングパンツとジャケットが、細身のカラダをさらに細く見せて、その折れてしまいそうな腰には、茶色に染まった髪がヘルメットから長く垂れている。恵まれた肢体をレーサーレプリカに這わせる後ろ姿は、ワタシの視線を奪うには十分過ぎた。むき出しのフリクションプレートがハウジングに当たって、排気音の上にカラカラと音を響かせる。