乾く間もなくて

帰り道、軽トラのフロントガラスに音を立てていた雨粒が、それからもずっと舞うように落ちていたのだろう。夜の闇に紛れた空は、黒く薄い雨雲に覆われてしまって、街や通りを静かに濡らし続けている。まったく「乾く間もなくて・・・」と、耳になじんだ昔の歌をつい口ずさんでしまう。

カーテンを引いて窓から外を眺めれば、路地を延びるアスファルトにはまた、外灯の灯りが白くにじんでいた。