意気地なし

子どもの頃から変わらない。それはゆるい泥にまみれたMX408でも変わらず、自在にKX85-Ⅱを操り、アウトバンクでブレーキターンを決めて軽やかにテーブルトップを跳び上がる。その後ろ姿に追すがることもできずに、思いを吹っ切れないまま、85SXが不用意にラインを横切り、大きく車体が傾く。アタマでわかったようには、マシンは動いてくれなかった。

kyoheiくんに借りた洗車機で厚く張り付いた泥を落としたはずなのに・・・しつこく残りこびりついた褐色のかけらのように、帰り道の軽トラの中、陽射しを浴びて見上げたつめたい青空が、いつまでも脳裏から離れなかった。

<つづく>