はぐくまれるモノ 4(完)

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赤いSのマークを背にして展示会場から、海の見える外へとつながる通路に抜け出る。共に巡った連れがトイレに行っているつかの間、壁際におかれた長椅子に腰を下ろし、丸めた雑誌風のパンフレットを開いて、ぱらぱらと見返してみる。よく知る俳優の語る台詞は、すごくよくわかる気がしたけれど、それだけでは無いとも思った。

鉄とアルミ合金の塊に味わいとかぬくもりとか、あるはずもない人間臭いモノを求めたがる。ライダーは身勝手だ。それでも湾岸エリアの壇上には、きらめく未来があり、夢が見られた。ストーリーは苦手でも、確かなドリームがある。時を重ねていっても、4つのメーカーは、それを大事に育てていた。少し小粒にはなってしまったけれど・・・。