それでも開けて走る 7

<12/4の続き>

でたらめに刻まれたワダチにかまうことなく、遠慮もなしに全開のまま、CRFを走らせる。濃い褐色の一本が、わずかにフロントタイヤを弾くと、シートに落としていた尻が一瞬、地面に引き込まれるように真下へと引っ張られた。思いの外、緩く広がる路面は、「先週よりはマシ」といった程度で、その印象が408コーナーを抜けて、2本目の折り返しを過ぎた下りのストレートまで続いていく。

細かな山砂が外に流れず、坂の途中にとどまっては、ひどい泥濘地を作り上げていた。その上を速いマシンが好きなように駆け下り、続くマシンが、その刻まれたワダチをたどって加速するから、溝は深くなるばかり。怖がるワタシのCRFは、全閉のおかげでさらに前に下がり、のしかかる重力に耐えきれずにフロントタイヤが崩れかける。その傍らを涼やかに緑色のマシンが掠めていった。

<つづく>