それでも開けて走る 11(完)

ひとつ、気持ちが楽になったから、その分他で苦労をしても、何とか泥に埋もれたコースを回り続けることができた。kyo-chanのおかげだ。閉じて迷って下向いて、それで倒すくらいなら、開けすぎて突っ込みすぎて傾けすぎて、派手に転がる方がいい。そう思ってずっと走っていたはずなのに、いつから守るようになってしまったのか・・・第1コーナーでインを射したKXが、続く408コーナーで、フロントから思い切り泥に突っ伏した。その横を今日一番のバンク角で、CRF150R-Ⅱが駆け抜ける。

ryoが北へと巣立ち、iguchi師匠もokano師匠も姿を見せず、週末の空は雨ばかり。日の暮れたコースを見やり、KXのキミにもらったおでんをほおばっていると・・・そんな喪失感に呑み込まれそうだった休日に、一筋ヒカリが射した気がした。