ようやく・・・ 2/2

<12/20の続き>

昨日のご機嫌な感覚を残したまま、第1コーナーのバンクに突っ込んでいく。ブレーキレバーを引く人差し指に、山砂をつかむフロントタイヤの感触が伝わってくる。バンクに少し乗り上げて、そこからマシンを寝かせたまま半ば強引に、続く直線へ勢いよく降りて、スロットルが止まるまで右の手首をひねる。少し屈んだリヤショックが路面に刺さり、まっすぐに加速する85SX。その車体が、陽射しが陰った途端、アメンボのように飛び跳ねる。ブルーレンズの捉えた路面には、昨日のワダチがいくつも深く刻まれたままだった。

「凍ってる!」

半端に射し込んだフロントタイヤが、いとも簡単に弾かれ、マシンは瞬時にアウトへ跳ねる。朝の冷え込みで、日陰はまるでコンクリートのよう。ブレーキペダルに軽く触れただけで、リヤタイヤは回転を止めて流れ出す。コーナーのアウト側に寄せられた山砂もそのままの形に固まって、立ち上がりのラインに転がる泥だんごが、小石のように二つのタイヤを弄ぶ。ひとたび勢いに乗せてやるだけで、どこまでも滑っていくような感覚。このMX408で味わうのは、これが初めてだ。しばらく暖かい冬の日で忘れていたけれど・・・ようやく冬らしさがやってきた。