少しは借りを返せたかな 3

<2/9の続き>

そのままギャラリーテーブルをふたつ、シートに尻を落とすことなく、ゆっくりと走り抜けて、ようやく今日の一周目を回り終える。左ヒザもあれきり何も言わなくなった。二周目。第1コーナーの乾ききったバンクが、冴えた空の青にエッジを刻みつけている。その縁に向かって、クラッチレバーをちょんと引くと、リヤタイヤが薄く埋もれながら、暴れるようにして砂を弾き飛ばした。なだらかな弧の端でマシンを翻し、そこから一気に駆け下りて、白くMX408と描かれた山肌に沿う第2コーナーへ。右手は手首が折れ曲がるまで捻られて、スロットルはもう動かない。陽の当たらない幅広の直線は、水気をたっぷりと残して2ストローク85ccの駆動を奪い、平衡を失わせる。

<つづく>