沖縄

生ぬるい風が、雨を浴びて白く流れていく。かすかに潮の香が残り、海を近くに感じる。季節外れの通り雨は、春雨と呼ぶにはあまりに勢いがあって、街は煙に包まれる。切妻の造形を見かけることもなく、低い二階建てが灰白いコンクリートで四角く積み上げられ、屋根にはまるで一枚の板が敷かれているよう。街並みに四季を愛でる雰囲気はない。ただ、嵐に耐える造りが、開放的な屈強さを醸し出しているだけ。

国道58号線に点在する英語のペイントは、どれも薄く剥げかけていて、街は白っぽく光って見える。町外れ、緑の森に星条旗が翻り、帰りのフライトを待つ滑走路からは日の丸をつけたF-15が飛び立つ。この島は、そんなところだ。