つかの間、空の上から

スマホの電源を切ってしまったことに後悔しながら、A4サイズほどの小さな窓からはるか下を眺めると、昼光色の破線がゆるやかに弧をくねらせながら二本、闇の中を走っていた。辺りには、それに群がるようにヒカリの粒がきらめき、破線は所々で赤く充血したように固まっている。その景色が斜めに傾げたまま、今度は海岸線に出ると、大型の船舶がその輪郭をヒカリでなぞっているのが見えてきた。ただ、それもつかの間、翼の突端に点るヒカリが鈍い灰色を照らし始めてすぐに、ヒカリは煙に巻かれたように消えてなくなってしまった。雨雲に包まれる前の刹那を、レンズに収めておければよかった。