気配

梅雨に入って三日目。雨らしい雨のない日に、ようやく水の気配が漂い始めた。低く薄く張られた雲は、わずかな陰影も見分けがつかないほどに柔らかく灰色に延びて、太陽はその向こう側に隠れてしまった。細く開いた運転席の窓ガラスを抜けて、吹き込む風は少し重たく、触れるものを冷たくしんなりとさせていく。

マホガニー材でできあがったフライングV、カーステのスピーカーから流れるマイケル・シェンカーの、その乾いたバッキングも、ちょっぴり湿気て聴こえてくる。窓を閉め切りにすれば、どこか蒸した感じで、開ければ、湿気てしんなりする。雲の向こうの陽射しに湿り気が絡んで・・・うっとうしい季節になる。