Last chance 4(完)

ようやくKX85-Ⅱ改の前でチェッカーフラッグを、それもsaitoさんの持つチェッカーフラッグを受ける姿が形を見せ始め、バックストレートのクロスラインに狙いを定めて、最後の山の上のタイトカーブを折り返すところで・・・しくじった。焦ったのだ。曲がり始めてすぐに開けすぎた。リヤタイヤが右に流れて、瞬間、右手が思い切りスロットルを閉じる。それまで目の前にあった背中は、逃げるようにして、下りギャップのジャンプを飛び降りていった。

KXと並びかけたところで、万事休す。matsunagaさんの真後ろで、チェッカーフラッグをくぐる。もしかしたら、これが最後のチャンスだったかもしれないのに・・・それなのに前に出られなかった。それでも、ピットロードに折り返してパドックへと戻るワタシのゴーグルレンズには、saitoさんの微笑む顔がしっかりと映り込んでいた。モトクロスを素直に楽しむ横顔は、今も昔も、そしてこれからも。きっと変わることはないのだろう。ありがとう。