ひさびさで、まずまずの 6

スターティンググリッドの前、CRFを真っ直ぐ第1コーナーに向かって構える彼に、一瞬だけ視線を移す。すぐにそのままSXが加速をはじめて、ホームストレートに高周波サウンドが長く延びる。バンクにかかってすぐ、ステップに立ち上がった上半身をねじるようにして、橙に光る車体を翻す。あれほど荒れていたストレートも十分均されて、真ん中より少し右、一番いいところを狙い、戻したグリップを止まるまで捻り直す。ギャップをすり抜け、408コーナーを大きくアウトいっぱいに回り、短いストレートを下ってまた、上り勾配へと切り返す。山肌をたどり、下り始めた視界の片隅にようやく、2台のCRFが第3コーナーをさばこうとしている姿が映り込んだ。

<つづく>