贅沢な日曜日 2

<7/11の続き>

走行時間になる前から、スターティンググリッドの前にマシンを立てる。左にさりままも、ゴーグルレンズを下ろして佇んでいる。そこから遠く、受付のベンチに座るsaitoさんをのぞき込むと、あわてて立ち上がり、両手で大きな丸を描いた。それを合図に、右の手首がくの字に折れ曲がり、左の二本の指の動きに合わせるようにして細くカン高い排気音が、息継ぎしながらホームストレートを駆けていく。

マニュアルどおりがいいことなんて、確かになかった。言われたとおり全域を薄目に振ったキャブレターは、あっさり85ccエンジンを吹けきらせる。平らな直線は、まだ我慢できる。ただ、勾配のきつい2本目の坂では、息を切らせるSX。反応が良くなった代わりにチカラが抜けてしまったような2ストロークは、不格好にフープスを跳ねて荒れた直線に弾んで、馴染んだ2つのテーブルトップから、暗い隘路に突っ込んでいく。

<つづく>