2年ぶりに榛名の夏 6(完)

一緒に遊んでくれるはずだったishibashiさんとkenyさんが一緒になって、林の陰からパドックまでSXを押し上げる。肩を大きく揺らしながら、センタースタンドに預けたマシンのキックペダルをつまみ出す。そして、右腕でそのまま下へ動かせば、何の引っかかりもなくあっさり下まで回っていく、そう、腕のチカラだけで簡単に。圧縮が抜けているのは、もう疑いようがない。途中で聞こえた金属音が何を物語っているのか、深く考えなくてもわかることだ。2年ぶりにやってきた榛名の夏は、まだ陽が南天に届く前に、終わってしまった。あとには、ビッグジャンプを軽やかに跳び越えていく、2人の姿が残るだけ。またひとつ鋭利な記憶が、ワタシの胸を傷つけることになった。