飛行機雲に

列車が駅に止まるたび、開いた扉から熱をはらんだ風が、スーツの足下に流れ込む。ほどよく冷やされていた車内が、熱でゆがむように淀みまどろみ、閉ざされた扉がしばらくの間、息苦しい空間を南へと走らせる。少しずつ背の高い建物に囲まれ始めて、空のあちらこちらが、鋭く斜めに切り取られていく。窓越しに覗く雲のない空は、青くまばゆくて、ヒカリを真っ直ぐに降らせている。

飛行機が、空のひときわ高い端に、一筋の弧を描いた。季節は移ろう。