旧知

真っ赤なTHORの背中を小さく屈めて、クランクケースの底をのぞき込んでいる。疲れたエンジンオイルを抜き取るその後ろ姿は、出会った頃と変わらない。ただ少し、言葉が多くなった気がするのはどうしてだろう。初めてMX408でまみえたレンズ越しの瞳は、降る雨に歪んではいても、確かに鋭く、前を見つめていた。

<つづく>