旧知 2

灰色をぶちまけただけの空の下、ときおり風が冷たく吹き抜けて、季節はずれの暑気はもう届かない。今日の予報は、いくぶん悪いほうに転がってしまったらしい。雨をたくさん吸ってしまった赤土も、やはり乾くことはなく、制動やら駆動とやらをいとも簡単に払い除ける。それでも降らないだけマシだと思えるのは、それだけ雨に濡れてきたということ。真夏を過ぎてからというもの、抜けるような青が続いた試しがない。

そんな2ストローク泣かせの路面でも、速く走る輩は、必ず居る。ワタシの走りでは、その彼らの後ろにRMのフロントフェンダーを突き立てることは、できやしない。右手の粗い動きもレバーにかかる左指も我慢できるようになって、立ち上がりでマシンが暴れることは少なくなった。それはできても、一気に足をすくわれる感覚がこびりついて、中途半端な速度のまま周回を繰り返す。それはきっと、すぐ前を走るカノジョも同じようだった。

<つづく>