封印 8(完)

<10/13の続き>

つづら折りのように急勾配と急な曲率を組み合わせた、日陰の中にある切り返し。それを半クラッチを使わずに1速で、ラインはインベタで回ること。言われたことを何度も口ずさみながら、もっとも苦手な左カーブを回り続ける。3周回って、1回決まるかどうか。上手くいくのはそのぐらいの確率だ、あとは、右手をひねるのが遅れて傾斜と駆動に折り合いをつけられずに失速させたり、逆バンクのようなカーブの造形に腰が引けてフロントタイヤが逃げてしまったり、車体を倒しきれずにアウトへ膨らんでいってしまったり・・・なかなかscrappyさんの言うとおりには走れない。ただ、決まったときは、とてつもなく気分がよくて、続く右コーナーもイン側の草むらにハンドルをこするように回って、その先のコブから大きく下へと飛び降りていける。oki-sachi師匠の「コース全体をつないで走るように」の言葉が瞬間、よみがえる。

カーブの傾斜や路面の土の感じ。思いのほかバンクがきつかったり、誰も走っていないカーブのど真ん中が、ブーツの底にしっかり食いついてきたり、真っ平らだと思い込んでいた直線が結構な上り勾配だったり。見えないものが見えてくる、「コースを歩いてみればわかる」ことがたくさんあることも、scrappyさんに思い出させてもらう。言われてみればMX408ばかりを走っていて、コースウォークもだんだんしなくなっていた。半クラッチの“封印”を決め込んで、初めはぎくしゃくしていたけれど、少しずつ丁寧にコーナーを立ち上がるようになって、マシンがいきなり真横を向くこともなくなった。慣らしの終わったRMとの距離もグンと縮まり、ちょっと谷田部が楽しくなってきたワタシの前に、kojimaさんの125SXが割って入ってきた。ひさしぶりに気持ちに火がついて、夢中で追いかけてみる。失われた2か月を取り戻すように。