夜の微風

少し膨らんだ三日月のすぐ上に、金星が白く瞬く。まだ宵の口、西の空はほんのり明かりを残したまま、通りを過ぎる音が途切れ途切れに消えていく。明けて二日、街から遠く離れた田園は、静かに時が流れる。年を追うごとに幼い頃の気分は薄らぎ、街はいつもと変わらない景色を見せる。せめて三が日、こうして夜に触る風を愛でるくらいがちょうどいい。