バイ✋

張り巡らされたガラス窓に、白波立つ東京湾の碧が広がる。通された木製の丸テーブルに差し向かいで座り、外から聞こえるジェットエンジンに話が盛り上がる。ほどなくやってきたランチセットは、香辛料の利いた中華。屋号に恥じない味付けに箸を伸ばしては、また話に興じる。胡椒と山椒が辛く香ばしい麻婆豆腐をすする目の前で、レタスを和えた炒飯を頬張るryo。その笑顔に、送り出す車中で交わした「やっぱりいいな、実家って」の声が重なる。

それから1時間もしないうちに、機体は空に舞い上がり、大きく右へ旋回して見えなくなった。