県道33号ライダー ~上~

群馬県安中市。横川の宿を抜けるとすぐに、国道18号線の旧道が碓氷峠へと吸い込まれていく。そのずっと手前、道が信越本線と並行に走る街中で望む、小高い丘にへばりついた亜鉛の精錬所が、いつも強く思い出される。そんな街に昔の同僚で、今もバイクに乗る男が住み着いた。正確には単身赴任だけど、赤いカワサキのマシンとやってきては週末に帰る暮らしを、ここ一年ほど続けている。その彼から年賀状の返事がようやく届いた。IT業界に身を置いて久しい彼らしくEメールに、しかも短く一言、「榛名山に来ることがあったら声かけて! by 県道33号ライダー」とだけ書いて。

<つづく>