県道33号ライダー ~中~

職場が別れて、そろそろ20年。ワタシが公道から離れてもう、10年が過ぎた。それでも、こんなメールを読んでしまえば・・・やっぱり地図を広げてしまう。

表紙の端々がめくれあがり、すっかりヤレてしまったツーリングマップルを取り出して、「榛名山」を頼りに、「安中」と記されたページを探し出す。開いた54ページには、「安中」ではなくて「軽井沢」とタイトルが打たれているけど、見開きの右から左へ、“安中”駅から終着駅となった横川駅まで信越本線が走っている。そして、その先で国道が、碓氷の旧道に続いていく。ただ、走り屋の彼が選んだのは、文学の香りがする旧い峠道ではなかった。松井田駅の先で北へ、倉淵に上っていく県道33号線。地蔵峠をはさんで、いい具合に屈曲して行きつ戻りつを繰り返している緑色に塗られた道。どこかに抜けるでも近道でもない県道は、きっと走るクルマも少ない、旧式のカワサキにとってお誂え向きの道なのかもしれない。

<つづく>