不馴れな 5

ふぞろいのワケを振り払うようにストレートを駆け抜け、陽射しを遮る黒い森の手前でショートカット。しっかり加速してからステップアップを跳び越え、少し右にベントしたバックストレートでRMを全開にする。

途中、コースで一番お気に入りのジャンピングスポットを、右サイドに張られたオレンジ色の柵ギリギリに跳び上がりざまだ。ビッグテーブルを見上げると、同じ2ストロークのRM125が、音もなく、ふわりと宙に浮かぶのが目に映った。七分丈のモトパンからニーブレースが覗く姿は、今でもTEAMナノハナ第二のホームコース、モトパーク森で一緒に走ったことのあるライダーだった。

ATVが爆ぜる音を散らし巻き上げた砂埃を割るように、高く空に向けたフロントタイヤが勇ましい。そして放物線の頂点に向かうマシンの上、上半身をハンドルバーに被せるようにして前を下げ、反対側の斜面の中程にマシンを着けた。その後ろ姿に右手を掲げてみせて、残りの直線を最後の右コーナーまで、全力で駆け抜けた。

<つづく>