春への階

アスファルトに夜が滲む。

赤いテールランプが足下で長く尾を引き、4つのタイヤが音を立ててゆっっくりと離れていく。ひんやりした宵闇がいきなり、真っ白なLEDライトに浮かび上がった。息を吐く唇が、弥生の冷雨にふるえて潤う。雨は夜半まで大地を濡らし続けて、また一つ、春への階を踏み越える。