as usual 4

「まったくエラい日に来ちまった」と、声には出さず、三人が三人とも密かに思いをめぐらせ、ゆっくり着替え始める。杉の枝から漏れるヒカリは、緑のテントばかりを照らしていて、風は冷たく吹き渡る。それでも三人の中で一番早く支度を終えると、RMの傍らに佇み、そっと空を見上げる。その背中に、最終コーナーへと迫る怒濤の気配が伝わってきた。火を入れただけでコースに割って入る気分になれないまま、いたずらにスロットルグリップを開けたり閉じたりを繰り返す。サイレンサーから吐き出される白煙をしばらく眺めていると、コースの方から拡声器を通した声が流れてきた。

<つづく>