再会 4

フープスの端から急いで戻り、土埃が乗ったままのRM85Lを降ろしていると・・・勇ましい破裂音が途切れて、パドックにCRFが帰ってきた。マシンをレーシングスタンドに掛けて、ヘルメットを脱ぐと、ひさしぶりに見る笑顔がそこに覗く。のんびり過ごすつもりだったのはカレも同じはず。それなのに、あんな走りを見せられたら・・・大人しくすることもできやしない。「ずいぶんいい走りしてるじゃない」と話せば、「それは見られていたから」と照れて、薄く笑う。まばらなパドックに、気心知れたのは二人だけ。冷たく乾いた風が吹くこの場所で、すっかり舞台は整ってしまった。

<つづく>