Comin' Home

耳になじんだ歌声が、シンプルなビートに乗って、風に吹かれてく。

明るい朝、4日前と同じパドックへ滑り込んだBongoの周りに、遅れてやってきたファミリー━━と言っても指折るほどではないのだけれど━━がトランポを寄せていく。右隣、ひさしぶりに見る旧いタイプのKX85Ⅱは、ゼッケンプレートに8が貼り付いている。微笑むのはゲーハーさんだ。一緒に走るミニモトがいてくれるのは、それだけでやっぱりうれしくなる。そして反対の左には、いつもの青いYZ125が、静かに降ろされる。

ビッグテーブルもそう大きく感じなくなって今、マシンを触る後ろ姿に、どこか攻める気持ちがにじんでいる。練習にいつでもまっすぐなところが、#92さんのいいところだ。パドックのいつもの隅に、2ストロークが可愛く並んだ。不揃いの細いエグゾーストノートが幾重にも杉木立をくぐり、空へと突き抜けていく━━そんな時間に思いを巡らせてはまた、パドックを震わせるビートにハミング。ココロが躍る。

<つづく>