Comin' Home 4

<4/1の続き>

最終コーナーが始まる手前、まだ路面が平たく真っ直ぐななうちに、並んだKX85-Ⅱの前に出る。そのまま乾いたサウンドを引き連れて、木漏れ日の中を走り抜ける。そして、ひとつ大きく息を吐くと、肩のチカラを抜くようにして、あの第2コーナーを回ってみる。

ジャンプを跳び出すように、力ずくではうまくいくはずもなく、勢いだけできれいに回れるはずもない。立ちの強く残った車体に、逸る気持ちがスロットルを当ててしまっては、危うくバンクを飛び出しそうになる。右手を閉じてマシンを寝かせたのは、もうクリッピングを過ぎてからだった。

半端に垂らした左足が立ち上がりでギャップを拾い、壊れたヒザがまた鈍い音を響かせる。跳ぶことですっかり満足していた週末はいったい何だったのか、そんなことを教えてくれた緑色の車影も、いつの間にかコースから姿をなくしていた。

<つづく>