晩春の候

晴れていたかと思えば雲に覆われ、落としていた視線を持ち上げるとまた、空一面に青が広がっている。落ち着きのない空模様は、吹きすさぶ南風の仕業。そして、昼休みが終わろうとするパドックに、Rock And Roll All Niteのリズムが流れてきた。I can't hear you!ーーポールの声まで届くようにRMのスロットルをひねり上げると、カン高い排気音が風をはらみ、アスファルトの通りへと抜けていった。

<つづく>