曲がるんじゃない

5時を過ぎても陽はまだ西の空高くにあって、走るアスファルトに街路樹の影が小さく落ちて揺れている。国道から離れると、あとは田舎道を5kmほど行けば、帰る家も近い。利根川にかかる有料橋の袂、来るときはだらり釣り上げられたように垂れていた錦の鯉たちが、今は西からの風をはらみ皆で泳いでいる。下げたウインドウに流れ込む風が、少し冷えてきた。

<つづく>