身の回りのものと大きな荷物、そして自転車と。それよりも大事なものを、オレは持ってこられたのだろうか。置いてこられたのだろうか。
巨体を震わすエンジンは低く唸り続けて、気弱なココロをずっと揺すり続けている。旨い酒に酔わされていなければ、きっとその瞳を、まっすぐに見ては話せていなかった・・・。
救われたのはオレなんじゃないかと、知る者もいない南に進む船の上、ようやく深いため息をつく。そして、早く笑い話になってしまえばいいと、また、深く息を吐く。
幾つになっても「キミはいつもボクの薬箱さ」。そう、SMAPが歌うように。その笑顔に、いつもオレは癒されてる。