Good luck !

ちぎれ雲がひとひら、青く冴えた空を流れていく。延びるアスファルトを包み込むように枝葉が茂り、その上から太陽が眩しく照りつける。そして、乾いた風が強く林を揺すっては緑を揺らし、ヒカリは乱反射する。

風と色とヒカリと。ちょうどひと月、季節を巻き戻したような支笏湖畔の景色のなかに、ryoの横顔が溶けていく。

「ちゃんとカノジョを作れよ」と、ついに気の利いたことも言えないまま、再び千歳のホテルへと吸い込まれていくその背をただ見送る。独り残された駐車場でふと見上げれば、空に雲はひとつも見えなかった。

それはまるで、北の大地が微笑んでくれているかのようだった。