rendezvous 4

<7/9の続き>

時間もそろそろ半分を過ぎた頃、ひときわ強く、腹に響く音が割って入ってきた。同じ4ストロークエンジンでも、プラス100ccとIBの腕で、エグゾーストはここまで暴力的になる。Sの字を倒したような下りから、コブとテーブルの続くコの字をした外周。2台の4ストロークを従えたYZ125が、最終コーナーのバンクへとまっすぐに高音を伸ばしていく。その左手を、CRF250Rがくるりと反転、加速を始める。そして、リヤタイヤが巻き上げる砂塵の中、もう一つの車影がためらいもなく突っ込んできた。

「ヤラレた」

居るはずのない、そう思っていたCRF150RⅡ。半分が過ぎて、疲れていたのは私の方。カレはまだ、気持ちを強く残していた。バンクの上で、立ち上がるその背中をただ見送り、一瞬遅れて、あわてた左の人差し指がクラッチレバーを軽く引く。リヤタイヤは思い切り空転し、立ちの強い車体が左に大きく流れた。右手でハンドルバーを引いてバランス、左のつま先がシフトペダルを掻き上げる。フルサイズの音はもう聞こえなくなって、また二人だけの時間が戻ってきた。攻守交代。今度は私が追う番だ。

<つづく>