当日

開け放した扉の外を靴音が忙しく駆ける。はす向かいのベッドからは、薄いカーテンをすり抜けて、痛みに耐える声が聞こえてくる。枕も変わって、アルコールも無ければ、午後の9時からそう眠りにつけるもんじゃない。結局、浅い眠りの波を越えて、その日を迎えた。

部屋の窓を朝から雨が叩く。雨粒は固くて大きく、撥水処理の行き届いたガラスに音を立ててぶつかり、そのまま丸く太った水滴になる。繰り上げられた順番は、2番。これを吉兆と、昨日とは違う一年生看護師と、階下のその部屋へと向かう。

通された部屋の「4」の文字に、ありきたりな不安を覚えながらも、「これから強い眠気が来ますからね」と言われた瞬間にもう、記憶が無くなり・・・・・・気づいたときにはすべてが終わっていた。どうやらうまくことが運んだらしい。ありがとう!