再来

寝返りを打った拍子にズレてしまったか・・・・・・。

グギッと鈍い音が、左の肩口に響いた。ちょうど左膝のズレが元に戻るときのような、あの何ともいえない音だ。その瞬間、よくないことが頭をよぎったけれど、痛みはない。それをよいことに、できればハッピーエンドな夢の続きを見ようと横になる。が、どうにも落ち着かない。うとうとしながらも、すべての神経が左の肩鎖関節へと向かう。覚悟を決めてベッドに半身を起こすと、術後に味わったことのない強い痛みが、左肩を覆っていく。夕べまで届いていた右肩に、左の指先が伸びていかない。

右手が左腕を抱え込んだまま、ゆっくりと階段を下りていく。洗面台に写った左肩は、あの日見たように鎖骨の端が浮き出ていて・・・・・・いびつに盛り上がってしまっていた。目を瞑りたくなる、デジャブな現実。何でこんなことになってしまうのか・・・・・・やるせなさと行き場のない悲しみに、雨に流すはずだった気分のくすぶりは濃くなるばかり。まったく晴れることはなく、ツイてない身の上から逃避はできなかった。双六なら、中盤から「ふりだし」に戻ったところ。それでも主治医は診てはくれない。

もう、この夏に、埃まみれになることはないのかもしれない。