泡沫

前線の端が切れて、うたかたの夏。空の水色に、浮かぶ雲の白が眩しい。その輪郭はくっきりと躍動的で、幾重にも重なり合っては、天上へと高く盛り上がっていく。下を向いて歩くのは、らしくない。

今さら嘆いても詮無いこと。いや、ひとつも悪いことなどしていないのだからと、左肩を右手でさすりながら視線を上げたまま、畦に歩を進める。空を向いた頬に、稲の緑を揺らした風がさらりと流れていった。