文月

夏の匂いのする月は、雨で始まった。

何事もなければ左肩が元に戻っているはずの今日、突っ張ったような感覚に濡れた風が触っていって嫌らしい。記憶に残るめでたいことがひとつもなかった前半戦は、この大怪我にトドメを刺された。それを引きずる後半戦だ、できれば強靱な心で駆け抜けていきたいもの。

ひとたび乾いたアスファルトに、雨がまた染みをつけていく。