「ごめんね、抜いちゃって」と言われては・・・

「言われたい一言」と「言われたくない一言」。もちろん世の中「言われたい一言」だけに包まれることはありえない。だから、もう一方の“一言”とも上手に付き合っていくことが必要になる。ただ「言われたくない一言」には想像以上にチカラがあるし、その炸裂するパワーが“負”に向かうと・・・かなり笑える結果となることもしばしば。日曜日のMX408でそんな不幸に見舞われた“馴染み”がいたので、その心の折れっぷりを“明日は我が身”と振り返ってみよう。

昼休みも終わってフルサイズ組から午後の走行が始まった。ミニモト組が続いて午後の1クールも“ミニモト速いチーム”の走行時間になった頃、隣でかなりイラついている男を発見。なにやら天敵(この場合「ライバル」とは言わないようだ)に刺されたらしい。さらにパドックに戻ってから一言・・・「ごめんね、抜いちゃって」だと!ワタシは思った、これはもう「言われたくない一言」を超えた、いわゆる「言ってはいけない一言」、NGワードだと。かなりアツくなった男には何を言っても無駄だった。そうして迎えた“運命”の最終クールに事件は起きた。

ワタシの目の前で、そして天敵の彼女が見守る中、バンクへ派手に乗り上げる1台のYZF。男だ。マシンを起こす動作が鈍い、鈍すぎる。明らかに「やる気」を失った後ろ姿だ。ようやく車体を起こしてエンジンを始動、再スタートすると・・・「あっ、コケた」。ボテゴケだ。もはや笑うしかない。そのまま走行時間はアップ、“期待を裏切らないヘコミ具合”でパドックに戻ってきた男に天敵の彼女が一言「突っ込み過ぎですよぉ」だと。これは痛い。で、入れ替わるように現れた天敵がとどめの一言「怪我ないみたいで良かったね。頑張って速くなろうよ」だと。この“上”からの一言はかなり効いたようだ。もはやアツくなることもできず、そのままコースを後にする男。「とりあえず速くなるしかないみたいだね、ワタシも頑張るよ」。