傘の花が開くには?

「お弁当忘れても傘忘れるな」。ツーリングの朝、ひがし茶屋街のおばちゃんに、そう言われたことがある。晴れ上がった朝でも午後には雨模様になる、そんな金沢のせわしない天気を表現しているのだそうな。それだけ雨の日が多いとも。そんな昔を思い出させる、濡れた朝だ。ホントに今年の春は雨が多い。

黒く鈍い光のアスファルトも、通りに出ると乾いたグレーに変わっている。路面は完全にドライだ。時折フロントガラスに雨粒が当たる。間欠ワイパーの“間”さえうっとうしい、その程度の雨だ。反対車線を走り去る車もワイパーを動かしているのは数えるほど、天気予報を聞いていなければ、傘が要らない降りである。

長柄の傘を手に車を出る。ポツリポツリと、忘れかけたように雨が落ちてくる。道行く人たちも、みな傘を手にしているが、差しかけて歩いているのは1/3もいるだろうか。今朝は傘を差している人が少数派だ。ところで、こうした雨は、傘を開くタイミングが悩ましくないかい?「いつ開くべきか、それが問題」だ。

「ここまで差さずに来たのだから今さら」と、強くなる雨にも悔しがって頑張る人。「せっかく持っているんだし」と、ほとんどわからない“降り”にも積極的な人。反対に「一度開いたからには・・・」と、閉じる理由を探し続ける人。人それぞれの“タイミング”でもあるのだろうか。ワタシの場合には、さほど雨足は関係しない。そばにいた人がさっと傘を開くと・・・「あっ、じゃあワタシも」となることが一番多い。そう、軽く背中を押されるような感じ、あくまでも「背中」を「軽く」である。「誰かが背中を押してくれるのを待っている」それがワタシのタイミング♪

傘を開くタイミングに悩むことすら馬鹿馬鹿しくなるほど、しっかりと降っている。雨どころかみぞれ交じりの帰り道、「寒さも彼岸まで」とはいかなかったようだ。このまま明日まで降り続けるというからたまらない。週末は予定どおり日曜日にしておいた方が無難かな?いくら背中を押されても、こればかりは・・・しばらくマディは勘弁願いたい。