ウルトラセブンは明けの明星が輝くときに帰って行ったっけ

思っていたよりも早く打ち合わせが終わった。夕陽と言うにはもったいないくらいの陽射しが、遠慮もなく車窓から入り込んでいる。まだ何かできそうな、そんな気分にさせる明るく眩しい光だ。帰宅ラッシュが始まる少し前、ゆっくりと電車に乗り込んでくる人々と“ゆるい”雰囲気が漂う車内に・・・このまま直帰することに決めた。

北千住駅東武線に乗り換える。改札を抜けて階段を下りていくと、電車を待つ人がホームの幅いっぱいに列を作っていた。伊勢崎線はちょうど混雑し始めたところなのだろう。吊り革に摑まる人がまばらだった久喜行きの急行は、人々が詰め込まれて通勤電車に早変わりだ。「草加辺りまでの辛抱」と、アナウンスの言うことを聞いて、車内の奥へ詰めて乗り込んでいく。眩しかった太陽は西の空に沈みかけていた。

家に戻って、タロ、シロ、ネロと散歩に出る。すっかり日が暮れた空は、西の方にだけ青味を残していた。新月が近いのか深い藍色の空に、“宵の明星”がひときわ輝いている。火星よりも地球よりも太陽に近い星「金星」、星の中でも抜群に明るく、妖しさを微塵も感じない“真っ直ぐ”できれいな輝きだ。何となく西の空に浪漫を感じながら歩く傍らでは・・・好き勝手に粗相するネロ、タロ、シロ(この順番でした)がいた。ウンチの始末をしながら「お前らねぇ」と嘆いてみても、まったく意に介さない三匹だった・・・。

実はこの金星、1か月に1度「三日月に接近」するのだという。とくに5月16日は、細い三日月に金星がくっつきそうなほど近づいて、今年見られる天文現象の中でも屈指の美しさらしい。今度の日曜日は天気が怪しいから土曜日のうちに見ておこうかな?その時は・・・一人の方がいいね!