ライヴで新曲など誰が聴きたいんだ!

と、シーン・シモンズ本人が言ったとか言わないとか。週一の“平和島詣で”が水曜日に引っ越しして、初めての水曜日。音を立てて降り続いた雨も上がり、上野に着く頃には青空が見えるようになっていた。

午後、平和島の駅までは、夏空の下を歩く羽目になった。今年はずいぶんとメリハリのある梅雨になるのかもしれない。あまりの蒸し暑さに、駅ナカの本屋で涼んで帰ることに・・・。バイク雑誌を漁りに向かう途中、若い兄ちゃんが立ち読みしていた雑誌に『SONIC BOOM』らしきジャケットを発見。新譜紹介か何かだろう、数枚のジャケット写真が縦に並んでいる。左の一番上にジャケットイラストと共に、解説らしき記事が見える。彼が手にしていたのは『BURRN!』、“圏外すれすれ”のワタシに、いつもKISS情報を提供してくれる貴重な雑誌だ・・・。彼が立ち去るのを待ってから、手に取り、ぱらぱらとめくってみる。

“BURRNIN’ VINYL”というレコード・レビューのページだった。シーン。シモンズが冒頭の名言を吐いたこと、金銭的な折り合いがつかず日本盤が見送られていること、クラシックナンバーに通じるライヴ映えしたチューンであること・・・などが短めに綴られていた。当然今年の夏フェスへの来襲はないようだが、元々秋口に来日を予定していたらしい・・・。

まだ弟が新松戸の病院に居る時、窓際のベッドに、ワタシと同年代の夫婦が見舞いに来た時のことだ。臥せっている男性も同じ世代なのだろう、80年代洋楽の話で盛り上がっているようだ。「最近も洋楽、聴いてるの?マイケルとかキスとか好きだったよね」。マイケル・ジャクソンはわかる。ただ、キスって・・・それは“キス”じゃない、キッスだ。「おいおい、訂正してくれよ」、横になっている後姿を眺めるも、そのまま話を流してしまっている。好きな人でさえそうだもんなー、CDもライヴも日本では興行的に難しいのかなー。

アルバムの評価は84点、再結成後に発表した前作『PSYCHO CIRCUS』と比べると、良くも悪くも“ラフ”な感じに仕上がっている『SONIC BOOM』。お気に入りの“All for the glory”をセットリストに入れて武道館に舞い戻ってくれよ、ジーン!