どんなに病院嫌いでも・・・行かなきゃ行けない時もある

遅い朝を実家で迎える。かなりの蒸し暑さと暴れまくる風で、眠りが浅かったらしい。ぐずる体に珈琲が沁みていく。いつもより1時間は遅いというのに、何か眠り足りない感じだ。慣れない和食に『ゲゲゲの女房』と、どうにも“据わり”の悪い朝、吹く風にあおられて、雨粒が窓ガラスに叩きつけられていた。

今日は柏の病院まで、親父殿の付き合い。舎弟といい、「病院に好かれるのはいかがなものか」と思うけど・・・黙っていても治らないんじゃあ、医者に診てもらう他はない。まったく噛み合わない”論戦を繰り返す親父殿とおふくろ様、その二人をバックシートに座らせて、通勤ラッシュの去った“水戸街道”を北に向かって走る。出来の悪い選挙演説を聴かされているようで・・・煩くもあり、愛おしくもありってところだ。

病院の駐車場に着くと、一時、雨が上がっていた。験を担ぐわけではないが、悪くない“演出”。重たい荷物と一緒に受付をすませると・・・「ハイ入院!」、まるで宿帳だね。指定された階上のナースステーションに向かうと・・・“チェックイン”にはまだ早いと、担当の看護師さん。短めの髪に黒いセルフレームのメガネがよく似合っている。言われるままに待合室で待つこと30分・・・ようやく“お部屋”に通される。ナースステーションから一番遠くにある4人部屋が、しばらくの間、親父殿の逗留先になるようだ。

年代物のトヨタ車で帰り道、インパネのカセットデッキが郷愁を誘う。Bongoとはグレードこそ違うものの、経年変化は隠し切れない。帰る先は実家、人も車も賑やかな通りを南下していく。空は、あまりの風に雨の気配が吹き飛んでしまっていた。列島の上、蛇行して横たわる梅雨前線の仕業だろう。夕日に照らされて、長く伸びる雲が、紅を注したようにほんのり薄く染まっている。まるで関東地方だけを避けているような曲線は、この先どうなるんだろう?とりあえず明日も病院なんで・・・このまま北上してくれてもいいよ、遠慮しなくていいからね!