まだお盆休み前なのに・・・ちょっぴり感傷的に

歩道に並んだ街路樹が、車道に長く大きな影を落としている。立秋が近づき、太陽の軌跡も低く緩やかになってきたようだ。西からの陽射しは、風に捲かれて眩しさだけになっていた。

波打つ緑の海を、薄く色づいた西日が優しく撫でていく。稲穂がざわざわと音を立てて、XR230の横をすり抜ける。陽射しの色が風にも映り込んだように、見えるものすべてが黄色と橙の中間にうっすらと染まっていた。

暑さの気配も薄れ、風に乾かされた空気を吸い込んで・・・XR230はご機嫌だ。信号待ち、アイドリングも歯切れ良く、太股に伝わる鼓動に力強さを感じる。立秋前の太陽とは対照的だ。

陽が落ちるのも早くなった。一時の涼を演出してくれていた木立には、いつしか真横から陽が射すようになっていた。木々の間から洩れる眩しい光が、XR230とワタシの目の前を横切っては消えていく。ヒグラシの鳴き声がヘルメット越しに寂しく響いていた。猛々しい夏日ゆえに、その夏の終わりを予感させる「色」と「音」が妙に沁みてくる。橙色の太陽は、北西の空に静かに沈んでいった。