MX版“夏フェス”in谷田部・・・真夏を右肩に刻みこんで

台風をものともしない“408組”が「谷田部エンジョイスポーツランド」に集結した。はるか上空の薄雲を背景にして、まばらな綿雲が強い風に流されていく。夏の太陽は、出たり隠れたりの繰り返し。「昼過ぎには雨」の予報も何とかしてくれそうな、青い空が覗いていた。

木立に囲まれたパドックは、吹き込む南風に荒らされることもなく、穏やかな雰囲気だ。木々が風に揺れて大きくしなり、葉っぱのこすれ合う音だけが騒がしいけど、草が地面を覆っているせいか、風に土埃が巻き上げられることも少なく、落ち着いていられる。足元には、まだ小さくて緑色した栗の実が、風に吹かれて落ちている。“木陰でうたた寝”したくなる気持ちよいパドックに、なかなか準備が進まない“408組”だった。

各車のエンジンに火が入ったのは、9時になってから。いよいよ総勢7台による夏フェスの始まりだ。“身内”で「貸し切り」状態のコースを、気の向くままに出たり入ったり・・・RIDE DAYの時ほどじゃないけど、相変わらずタイヤの食い付く感触が楽しい。“初”谷田部の3台も、MX408とは違う路面とコースレイアウトを確かめながらゆっくりと周回を重ねている・・・と思ったら、1台だけ様子がちょっと違っていた。90年代のO’NEALを纏った「言い出しっぺ」の駆るCRF150RⅡだ。さすがは元IB、吐き出される音がまったくの別物。初めて目にする走りは、いわゆる「開けたら戻さない」という速いライダーの典型、その“開けっぷり”も圧巻だった。相手をしている150の苦しげな排気音が森の奥にこだましている。

ひとしきり走ってパドックに帰ってくると、408組から少し離れた木の下に、紺色のハイエースが停まっていた。コースにいたYAMAHAKTMのフルサイズコンビだ。RMから降りてヘルメットを脱ぐと、その一人がYZ450Fと共に近づいてきた。「似ているからそうだと思ったんだけど・・・しばらくです!」。ryoを指差しながら、ヘルメットの奥で黒い瞳が笑っている。「えっ、セヌーさん?!」。ホントにしばらくだよ、去年の「WESTWOODお客様感謝祭 in SUGO」以来じゃないのかな?でも、オフロードビレッジやモトクロスビレッジでならいざ知らず、まさかココで会えるとは・・・谷田部ではこんな出会いばかりで、驚きの連続だ。そのセヌーさんからTiLT Racingの近況をアレコレ教えてもらう・・・曰くユージさんはとっても速くなったらしい・・・久しぶりに会いたいなー、ユージさんやホッパーさんにも。そのセヌーさんの背中を追いかけるようにコースへと舞い戻り、夢中に遊んでいると・・・いつしかチェッカーが振られる時間になっていた。

<事件はこの後、コース唯一のテーブルトップで起きることに・・・続く>