短いけど・・・楽しい夏休み! in 鮫川~その4

10時もかなり過ぎた頃、福島ナンバーのコースターがパドックに入ってきた。モトクロスの“お仲間”がやってきたようだ。キッズかと思えば、まだあどけなさの残る女の子、通い慣れている風な娘の駆るマシンは・・・何とYZ125だ!長身に青いウェアが、どことなく忍ちゃんぽい。お昼寝中の先客を入れて、4台すべてが2スト。FMXの聖地らしく、2ストマシンが幅を利かせていられるのが、ココのいいところだ。蝉の声を掻き消すように、スタート地点に向かうYZ。125の太めな排気音が森にこだまする。

ホームストレートの頂上を超えると、一瞬音が消えて・・・下りのコーナーを立ち上がったところからまた響いてくる。奥の森にマシンが消えるとラストバンクに姿を見せるまで、音も聞こえてこない。そして、また、ホームストレートを駆け上がる音がこだまする。反響しているのがわかっているはずなのに、まるで後ろの山にマシンが走っているような感覚になってしまう。セクション練習を取り混ぜながらしばらく一人で走っていたYZ125がパドックに戻ってきて、そのエンジンが止まると・・・裏山に響いていたこだまも消えて、静けさが辺りを包んでいく。耳に届くのは、再び蝉の声だけ・・・ランプの彼方、風にそよぐ木々を眺めながら気の向いたときに走り出す・・・この“贅沢”がたまらない。

昼休みも、気が向いたら走ればいい・・・真っ先にコースへ出ていったのは、YZの女の子。伸びやかにこだまする高音に誘われたのか、もう1台のYZ125が、ウォームアップもそこそこにランプを飛び始めた。そのすぐ脇を、女の子のYZ125が加速・・・いかにもモトパーク森らしい光景だ。しばし天地の競演を、浅く腰かけたデッキチェアから眺めてみる。見上げるマシンは、恐ろしく高い放物線を、ゆったりと描いていく。その軌跡をただ眼で追うだけ・・・十分に癒されたのは、ryoが先だった。「行くよ」と眼で合図をして、ガードをつけ始めるryo。その肩越し、真っ青な東の空に、白い入道雲が湧きあがっていた。

すでにロングテーブルは跳び切れているryo。奥の森の中、左に90°ターンしての登り勾配を攻め立てている。スロットルを開け切った状態でのコーナーリング、カウンターを当てながら加速する様は、後ろから見ていてぞくぞくする。危うく映る走りでも、乗れてるときは転ばないもんだ。手前のフープスからしっかり開けて頂上まで駆け上がっていくryo+KX・・・ここの速さは本物だ。それまで詰めていた距離が、あっという間に開いていく。こうなると手が着けられない・・・。ただ、下りで離れなければ勝機は十分!oki-sachi直伝の“下りのコーナーリング”で応戦するまでだ。

<最後のクールは“体力を残すことなく”行けるところまで・・・次回、いよいよ最終話?!>