好天がもたらした、実り多き一日~その4

午後の一本目、周りよりも少し遅れてコースの入口にRMを運ぶ。コースインする時機を見計らっていると、最終のテーブルトップを橙色の車体が跳び上がってきた。harada師匠のマシンだ。一瞬こちらを向いて目配せしたような気がして・・・すぐ後を追うようにコースイン。そのまま、何となく引っ張ってもらう展開になった。

後ろ姿を見失わない絶妙の距離を保ちながら、巧みにRMの車速を乗せていくKTM85SX。午前中よりも明らかに速く周回できているのは、乾いてきた路面のせいじゃない。やる気にさせる引っ張り方は師匠ならでは、気がつけば“棚上げ”にしていたセクションを攻める気持ちにさせられていた。背中に一言、「練習相手になれずにごめんなさい」だけど・・・ワタシには最高の練習だ。

最初のストレート、その真ん中に短い4連ジャンプがある。斜面の角度といい、コブとコブの間といい、ちょっと怯んでしまう・・・何気に手強いセクションだ。躊躇していた午前中はついに攻略できなかった4連を、2コ2コで跳び越えていくharada師匠。それも“すぐ目の前で”だ。ムキになって加速しているわけでもなく、どちらかと言えば車速を落として処理している。「同じ速度で入れば・・・大丈夫!」、自分でもイケそうな気がしてきた3周目、覚悟を決めて跳び出してみれば・・・フワっと浮かんだRMが2個目の3個目の間にピタッとはまって、その勢いで3個目と4個目も跳び越えて・・・「ん?!やった?!できたぁ!」。いつもそうだけど、できてしまうと、それまで難しかったセクションも簡単に思えてくるから不思議だ。思えばMX408の難所“フープス”も、harada師匠に引っ張ってもらったときに跳べるようになったんだっけ・・・。

4連が跳べるようになったことに気を良くしたのか、スロットルを開ける操作が、だいぶ雑になってきた。奥に落ちる手前の緩い右コーナーでも、軽い感じで車体をあしらっていたのだろう、立ち上がりでズバっとリヤタイヤが流れて・・・何が起こったのかを理解する前に、ヘルメットから地面に叩きつけられた。肩を激しく打ちつけて、軽い脳震盪だ。スロットルもかなり乱暴に当てたのかもしれない・・・。何とかホームストレートまで戻り、しばらく休んでから気持ちを入れ直してコースに復帰。4連はもちろん、全体のリズムも崩れることなく走れる・・・「よっしゃ!」、“負”の印象が残らなくて、良かった良かった!

<次回はいよいよ最終話?!かな>