好天がもたらした、実り多き一日~最終話

パドックに戻って、まずは師匠にお礼。ワタシの“成長”を楽しんでくれているようで、4連が跳べるようになったことを伝えると屈託のない笑顔で応えてくれた。ギャップの続くストレートはこうして・・・と、奥からのシングルジャンプを越えた後のコツを話し始める。両腕が作り出す“間”に、どれだけゆとりを持たせられるか、それがキモだと言う。車体を上下に暴れさせながら、加速も減速も思い通りにできる状態・・・深く頷いてはみたものの、そう簡単ではないはずだ。次のクールで頑張ってみよう!

自分流なりの練習法を見つけたmasaru-chan、ショートカットしてばかりだけど、乾いた最後のストレートを駆け上がってくるCRF250Rは、元気に吹け上がっている。今まで聞いたことのない排気音は、エンジンが高い回転域まで回っている証拠だ。色付きのゴーグルの下、満足そうに目を細めているのが見えるようだ。そんなmasaru-chanの姿に刺激されて・・・すぐさまRMと一緒にコースへ帰っていく。風が凪いで身体に暑さが残るようになってきたけど・・・さすがに真夏の炎天下とは訳が違う、連続走行もそれほど苦にならない。

コースイン直後の4連は、もはやスローダウンの必要がなくなった。こうしてセクションがこなせるようになると、コース全体での流れが良くなって、楽しく走れる。これは大事なことだ。連続ギャップにも身体が良く動いている。コーナーに刻まれた幾本かの轍、コースサイドから延びる枝葉、そして路面に転がる数多の毬栗。乗れてきているのか、午後も遅くなってきて、それらが良く見える。ただ、例の湿った左コーナーだけは・・・最後まで気分良くは走れなかった。後ろ髪を引かれつつも、生まれ変わった半谷のコースに満足しながら、ゆっくりとコースアウト・・・。

着替えも済んで、すっかり“くつろぎ”のざりパパさん。kusaba家もharada師匠も、すでにマシンを洗う準備をしている。ワタシもmasaru-chanも・・・“もうけもの”の一日を満喫して、無事終了となった。気に入らなかったのはサイレンサーの出口。うっすらとカーボンが滲んでいる訳は・・・エンジンを開け切れなかったから。それが悔しい。突き指してから甘くなったフロントブレーキにも不満が残った・・・。ビニール袋に入った山栗と脇腹に浮き出たアザ、そして、いつくかの課題・・・思いがけずたくさんの“土産”を手にして、一足先にコースを後にする。助手席から覗く空には、まだ十分に青さが残っていた。奥のコーナーが乾いたときに、もう一度走ってみたい。