極上のトラクションは・・・めったに味わえないもの~その2

利根川の流れに沿うようにして、龍ヶ崎へとハンドルを向けていく。途中、野田から柏に入る手前で、雨脚が強くなってきた。間欠ワイパーでは間に合わない。しかし、それもつかの間、利根川沿いに延びる農道を走り出す頃には、雨も止んで、雲の色も明るくなってきた。降ったり止んだりで、コースの上空が気になってしかたがない。

取手を過ぎると、再び雨が落ちてきた。最近の天気予報は、あまり嘘をつかない。龍ヶ崎の市内に近づくと、さらに雨は強くなって・・・いわゆる本降り。WESTWOODの前も雨の中、いよいよコースのそばまでやってきても・・・雨が止むことはなかった。助手席のryoは、田んぼに出来た水たまりやら、路肩の乾き具合やらを目で追って、何か“明るい”材料を探しているようだった。「湯ったり館で風呂に入ってから、WESTWOODにでも寄って帰るか」・・・相変わらずフロントガラスを濡らし続ける雨に、ほとんどコースを走る気は失せ始めていた。

木々が覆う狭い坂道を下りきると、視界が開けてコースとパドックが遠くに覗いている。あいにくの雨なのに、パドックにはトランポの屋根が連なって見える。キッズのレースが一週間後、練習熱心な親子が多いのかもしれない。入口の水たまりをゆっくりと跨いで、受付にBongoを寄せていくと・・・saitoさんが申込書を手に走ってきた。「ちょっとコース見てからでもいい?」「あ、いいですよー。今はいいけど・・・これから降るって言うし」。こんな何気ない会話にもMX408らしさを感じる。わがままを言って、ちょっと様子見させてもらうことに・・・。

親子連れが多いと思ったら・・・意外や意外、パドックの手前は常連さんのトランポで埋まっていた。と言っても、今にも走ろうかと準備している横で、着替えることすら躊躇していたりして・・・小康状態の雨に、みな頭を悩ませているようだ。常連さんの脇にBongoを停めて、とりあえずコースを見て廻る。ブルで入念に均された路面には、天からの散水がまんべんなく振り撒かれていた。白く乾いていた赤土は、すでにドライではなくなり、水気を吸って本来の赤茶けた色に染まっている。思いの外、雨の影響もなくて・・・こうして眺めている限りでは“ベストコンディション”にしか見えない。

ほどなく、koba-aniのステップワゴンがやってきた。走る気は、十分らしい。9時になってフリー走行開始、常連さんが次々にコースへと出ていく。小降りになった雨と、坂を駆け上がるマシンの咆哮に気持ちを昂らせてきたのは・・・ryoの方だった。その気持ちに押し切られたのが半分、もう半分は・・・何となくイケそうな感じがしたから。そうと決まれば、さっさと準備だ。急いでsaitoさんのところで受付を済ませて、マシンを降ろし始める。「午前中に思いっ切り走って、午後は湯ったり館経由でWESTWOOD」。KXとRMを降ろしながら、そんな計画が頭に浮かんでいた。

<果たして見た目どおりに楽しめるのか・・・次回、本当のMX408がわかる>