極上のトラクションは・・・めったに味わえないもの~その4

さすがに30分は長い。力一杯スロットルを握り締めているせいか、右腕もパンパンに腫れている。止むでもなく、強くなるでもなく・・・落ちる雨。koba-aniのテントで雨を避けながら、左手で右腕を揉みほぐしてやる。ただ、辛いわけではない。いつもと違う“表情”を見せるMX408には、思わず笑みがこぼれてしまうほど。今日走れている人は・・・幸せ者かもしれない。

遅れていたClub kawaraの親分が、ようやく到着する。手には「青春18きっぷ」ならぬ、桜田門発行の「青切符」・・・どうやら“国庫金納付書”をもらうのに手間取っていたらしい。たまたま通りかかったsaitoさんが一言、「高い走行料になっちゃいましたね」だって。確かに。元を取るには・・・目一杯走らないとね、親分!

久しぶりの再会に話が弾んでいると、次の走行時間がやってきた。ryoとkoba-aniとはバラけてコースイン、ニセmanabuの駆るYZ250Fを追走する形で走り始める。途中、二代目RMを手に入れた常連さんと絡みながら、前を走るYZを追う。思った通りに“回る”リヤタイヤの感覚は、さっき走った時のまま。湿った赤土が、スロットルの開度を大きくさせてくれる。

純粋にコースを楽しめる時って・・・そう多くはない。今日のMX408には、そんな“時”が巡ってきたようだ。天の恵みは、マディコンディションになるギリギリのところを保ってくれている。スロットルを開けた瞬間、リヤサスが縮んで路面を掴む・・・シートからは、その“Traction”が伝わってくる。奥に向かうストレートを加速しながら、ふと、コース入口の看板が脳裏に浮かんだ。そこには「MX408」の下に小さくこう書かれている・・・“Full Traction MX Park”と。看板に偽りなしのコンディションで、ご機嫌な時間が過ぎていく。

<ゆっくりと雨粒が多く、大きくなっていく・・・次回が最終話かな?!>